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ドゥロワーの引き出し

2010年の区切りの良い年に独立起業いたしました。20年間携わってきた自転車業界で得た知識をフル活用し、次の自転車業界のための人材を育成しようとたくらんでいる「ドゥロワー」の日々を徒然なるままに綴ります。

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TBSでの自転車事故に関する報道について

みなさんこんにちは
ドゥロワーの山路です。

週末はいろいろとヘビーな事が多く、少々疲れました。
その中でも、皆さんの関心も高かったTBS報道特集が放送した自転車事故に関しては、多少関わりを持った者として、いろいろと思うところありで、即ブログでの発信をしようかと思ったのですが、それぞれの立場に立って検証することが大事だと思い、週末のブログ掲載については取りやめました。

冷静になった本日、慎重に発信したいと思います。



事の馴れ初めは、過去の当ブログをご覧いただければ大よその事はお分かりになっていただけると思います。

今回、私の仕事として「終わったこと」を敢えて振り返ってみようと思ったのは、報道された内容に異論を唱えようという事ではなく、自転車業界に関係する立場の人間と、一般消費者の立場から見た同番組は、結果として異なる印象を持ったということを感想として述べる必要があると感じたからです。

私のこれまでの経緯からは、やはり一般消費者の目線で同番組を咀嚼することが大変難しく、自転車業界に詳しくない知人や家族などの意見を参考にしながら、今後どうしていかなければならないのかを真剣に考えざるを得ない週末になりました。

事故が発生したのはまぎれもない事実で、それがどのように発生したかのプロセスや原因などは、事故が発生した2年前の「記憶」や「現状証拠」に基づく推測の域を脱しないわけで、それらの不十分と思われる内容から一つの結論を導き出す難しさや怖さは、大変なものがあったと思います。

事実、ご担当されたY氏を始めとする方々は、相当に限られた時間の中からそれぞれの立場で取材を行い、今回の放送に至っていることも十分に理解しています。

我々視聴者は、報道された内容をそれぞれの立場で視聴し、それぞれの立場で異なった感想を抱きます。
もちろん立場だけでなく、それらを経験したかしないか、またどのような環境の中で育ってきたかによって、感想が異なるのは言うまでもありませんが、それらの視聴者が放送する側の意図をできるだけ正しい形で受け取り、感想が持てるようにギャップの少ないアウトプットを放送することが理想的だと言えるでしょう。

今回においては、まずお怪我をされたユーザーの主張、またその主張に対する製造者とそれを取り巻く業界という形で構成されていますが、時間の制約などの要因があったとはいえ、上流と下流の主張だけが放送された形で、実際にユーザーの使用状況やどのような経緯で販売されたかなど把握できない製造者(今回はライセンス生産されたものですので少々ややこしい)とインターネットで購入され、お怪我をされたユーザーのみへの取材(実際は違うでしょうが、編集では両極の方々のみの見解のみ)であるため、核心に迫るような回答が得られないのは当然と言えるでしょう。

どの製造者でもそうでしょうが、現物を見せられただけで取材に対してズバッと簡潔明瞭な答えを言う方などこの世にはいらっしゃらないと思いますし、ただでさえネガティブな案件ですから、今後の方向性も含めると下手なことは言えないわけで、噛み合わないちぐはぐな主張が視聴者にとってはとても理解し難く、結果的にお怪我をされたという事実が強く「ビアンキを始めとした自転車業界はひどい」という事のみが残った感じがします。

今回、本件の見解に関する取材が無かったわけですが、放送前の担当の方とのお話では、あくまでも報道の意図は「注意喚起」という事が最大のテーマということで、供給側と消費者側の双方に対しての警告であって欲しいという願いから、当時取材をお受けすることを決めながらも、撮影日直前になって先方の都合によって取材がなくなりました。

それ以前に、お話を伺いながら、非公式ながらも今回の報道とは異なる見解を出したわけですが、実際の放送ではその見解については全く放送されなかったという事について、報道の公平性という意味においては大変な違和感を覚えます。
もちろん私自身、お怪我をされた方に対して「製品は悪くない」というつもりもありませんし、製造した供給側に対して「製品が悪い」というつもりは全くありません。
ただ、異なる見解もあるよという事実を視聴者にちゃんと理解していただいた上で、どうするべきかを考える良い機会になればと思っているだけです。

しかも、見る人が見るとわかってしまうのですが、サスペンションのスプリングが仮に折れていたとしても、地面に大きな穴があって車輪が落ちるか、もしくは重力+体重+車重以上の力で、車体を50mm以上は持ち上げないとアウターレッグと呼ばれる部分とアッパーチューブと呼ばれる部分が分離することなど普通では考えられません。
ましてや、フロント側はブレーキレバーとキャリパーがワイヤーでつながっており、相当な衝撃がなければワイヤーごと千切れてしまうことなども可能性としてはかなり低いのではないかと推測します。

試しに、ある程度のスピードで走行していただいて、その状態のままいきなり前車輪のみを持ち上げようとして見てください。
プロのサイクリストでも相当難しいと思います。

つまりこのような見解もありながら、番組内で「一方ではこのような専門家の意見も・・・」という内容があれば、非公式コメントを出した本人的には、公平性はかなり高まると思ってしまうわけです。
※その異なる見解は当ブログをお読みになってください。

私が1月から起業しましたのも、消費者に対して知る機会を創造する目的と、供給側が正しいモノを提供できるようになるべきだと考えたからこそ人材育成という活動を行っています。
その立場からすると今回の報道については伝えなければならなかったいくつかの内容が不足していたと思わざるを得ないわけです。

放送終了後は土曜日の夜であるにも係わらず、ひっきりなしにいろいろな方達からお電話を頂戴しました。
その内容は様々なものがありましたが、いずれにせよ我々自転車に携わる者としては、このような悲しい事故が起こらないよう製品を作り、また販売後のアフターフォローも始めとしたインフラをさらに充実させていくことは当然のこととして行っていかなければなりません。

しかしながら、私の経験では、販売店時代、メーカー時代を含めて、お預かりした自転車を手渡して「何もチェックしない」のは日本人だけ。
これも日本のサービスの質が高いからこそ起こりうる弊害なのかもしれませんが、消費者自身も安全はお金だけでは手に入らないということをもっと強く意識することも大切だと思います。

と、長くなりましたが、いろいろ考えさせられる週末でした。
こんな機会を与えてくださったTBSの方々に感謝すると共に、お怪我をなされた方のできる限りの回復をお祈りするばかりです。


では、次の引き出しをお楽しみに。


ちなみに、すでに動画サイトにアップされていましたのでよろしければ・・・
http://www.dailymotion.com/video/xctluq_bianchi-rstyyyyyyyyyy-1-2_news
http://www.dailymotion.com/video/xctm56_bianchi-rstyyyyyyyyyy-2-2_news
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COMMENT

ロアーレッグの変形あるのでは


現物を見ていないので、画像からの判断ですが、ロアーレッグの上端ダストシールの部分前後方向に楕円に変形していませんか?
変形しているとすれば、ロアーレッグが抜けて転倒したのではなく、前輪ロックして前のめり転倒してから、ロアーレッグ含めた前輪が外れたのではないでしょうか?

| 絹自転車 | 2010/04/08 07:49 | URL |

No title

>絹自転車さん

コメントありがとうございます。
短い時間での現車確認でしたが、ダストシール部はきれいな状態でした。
しかも、ロウワーレッグが抜けた後、そのまま前方へ倒れたとされていますが、その場合、必ずインナーチューブ先端が地面に着くと思われますが、インナーチューブの先端もかなりきれいな状態でした。

いずれにしても絹自転車さんのおっしゃる通り、私も同じ見解ですが、転倒してからロウワーレッグが外れたと考えるのが妥当でしょうね。

| ドゥロワー | 2010/04/08 14:34 | URL |

証拠保全

そうですか。
そうしますと、ホークの変形など各部を詳細に計測して、お互いの主張に裏づけ証拠を出す必要がありますね、ビミョーな判断になる事が予想されますので、テレビの画像を見ると下ワンからリテーナーが見えてるので、ヘッド周りの状況が事故の現状から変ってしまいます。
事故の証拠品を台湾やスタジオに持ち込んでから訴訟と言うのは問題ですね。
今後の動向注目しています。

| 絹自転車 | 2010/04/09 08:07 | URL |

証拠保全は全くなされていないのが驚きです

>絹自転車さん

そうなんです。
現車がTBSにあるという時点で、私自身相当驚きました。
一般的にはクレームが発生した時点で現車は、できるだけ当時のままで保全しておかなければ、検証を行うことが相当難しくなりますよね。

しかも、TBSは台湾に持っていく時にどうやら分解しているのではないかと推測しています。
追突事故の可能性を検証するために、ヘッドワンを調べさせてもらいましたが、虫食いがひどいだけで、追突の事実などなかったのではと考えられます。

この時からヘッドはガタガタの状態で、乗れないくらい緩んでいましたのと、放送時のヘッドの状態が異なるために、恐らく事故が起こった当時はヘッドはある程度固定はされていると思います。

つまり、誰かが分解したと・・・

詳細な検証には結構時間がかかることが予想されますね。
今後の動向に注目しましょう。

| ドゥロワー | 2010/04/09 09:40 | URL |

個人的推測

動画を見ました

現車の破損度を動画上で見ましたがサスの構造上、通常走行時に唐突に抜けるものではないと思います

負傷の程度を考えると内部構造の破壊で設計上のフルボトム以上に
ボトムしフォーククラウンが前輪と接触しロック、結果、前転し顔面から
叩きつけられたともとらえられます

その後衝撃でレッグ部が外れればインナーチューブの先端も無傷で残ります

これなら平坦な場所でも起こりえると思いますが現車を見た訳ではないので推測にしかなりません

買ったはいいが安価で簡単な消耗品の交換で済ませるだけでは問題だと思います
ヘッドやBB、ハブ等はショップに出すとメンテ費が高価になりこの程度のクラスでは
遠慮されがちなのも否めません。

マスメディアの取材や報道のやり方等も問題だとは思いますが
自分が使うものはある程度構造等は知っておくべきだと思います

| くま太郎 | 2010/04/11 11:35 | URL | ≫ EDIT

No title

僕は安物の自転車にしか乗りませんが・・

> お預かりした自転車を手渡して「何もチェックしない」のは日本人だけ

ここを読んで、壊れるなんて思いもしないしチェックもしたことないなぁと思いました。
よその国では、消費者がどんなチェックをするんですか?こちらでもしたほうがいいことってありますか?

| 通勤自転車 | 2010/04/12 02:15 | URL |

No title

ランプがつかなくなる、ブレーキの利きが悪くなる、パンク、チェーンが切れるなどの故障は普通に発生しますし、一万円で買ったママチャリでもタイヤ交換ともなれば、修繕費に五千円くらいかかったりします。
ただ、通常の走行中に突然激しく転倒し、大怪我を負うような破損が発生する事を想定している人は少ないでしょうね。

私が子供の頃に家にあった自転車は錆びやすく、父が頻繁に油を差しては磨き、保管場所も家の中の土間でした。
いつの頃からか、雨ざらしにしてもそうそう錆びず、空気を入れる以外はメンテフリーのようになっていましたが、バブルがはじけて安価な自転車が出回るようになってからまた故障しやすくなり、購入価格に対して修繕費が高い・・・という事で、街乗り自転車の寿命は短くなっていったような気がします。

サイクルヨーロッパジャパンが公式コメントを出しましたが、やはり事故の直接原因については、原告側の主張に納得していない様子です。
http://www.cycleurope.co.jp/important_news.html

番組では被害者の方と目撃者の証言、日本車両検査協会の調査報告から事故の再現CG(フォークが抜けてその結果転倒)を作成したようですが、警察の見解はどうだったのでしょうね。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1017096150
こちらの相談者は某大手スーパーのノンパンク自転車のフォークが突然曲がり、転倒したため日本車両検査協会に調査を依頼したが、新しいフォークで強度試験をした結果「急ブレーキによる不運な事故で製品に問題なし」との結論だったそうです。
しかし警察では「障害物もブレーキ跡もない状況で、フォークのみ曲がっている単独事故は初めて見た」という見解だったとのこと。
さらに調べてみるとそのノンパンク自転車はスポークが折れる、フレームが割れるなどトラブル多発で、既に販売中止になっていたようなんです。

今回の件で日本車両検査協会にてどのような調査がなされたのかも気になります。

| さほ | 2010/04/12 09:42 | URL | ≫ EDIT

皆さんのご意見は本当に励みになります

>くま太郎さん、通勤自転車さん、さほさん

まとめて失礼しますね。
皆さんコメントありがとうございます。

本当にいろいろなご意見ありがとうございます。
ここ数日ちょっと忙しく、3部作の最後にまだ着手できていませんのでお恥ずかしい限りです。

いろいろなご意見あると思いますが、今回の件が業界にとってもユーザーの方にとっても意味のある警鐘になることを望みます。

ぜひ今後とも当ブログの応援をよろしくお願いします!

| ドゥロワー | 2010/04/13 22:37 | URL |

パンや猫

前のめり転倒事故で判断が難しい事例、何度か経験してます。パンやバスケットシューズが前輪に入り転倒すると、スポークにダメージは少なくホークは変形、証拠となる、物証は散乱していると、普通にある物と見なされ片付けられてしまいます。
最も困るのは動物、前輪ロックの原因は逃げてしまうし、大きな事故は転倒時の記憶は定かではない。
大きい事故が起きたら、スグに対応しないと事故原因は特定不能になり、事故の再現性で検証することになるでしょう。

| 絹自転車 | 2010/04/14 07:52 | URL |

No title

>ドゥロワーさん

ご活躍のようで何よりです。
どうかご無理なさらず、続編に期待しています。


>絹自転車さん

前輪ロックの事故、私の弟も経験しました。
その時は紐つきの布袋をハンドルにひっかけてブラブラさせていたせいだったので、駆けつけて下さった方により原因は一目瞭然だったようですが、やはり本人は事故発生時の状況は覚えていませんでした。動物が原因で逃げてしまったという事もありえるのですね・・・思いもよりませんでした。
調査は機関を変えてまだ続くそうです。

「自転車の前輪外れ重傷、部品に欠陥」 輸入会社を提訴
http://www.asahi.com/national/update/0405/TKY201004050329.html
>経済産業省所管の独立行政法人が今後、原因を調査する。

| さほ | 2010/04/14 09:04 | URL | ≫ EDIT

No title

僕のはルイガノのMTBですが、今年の正月にこれとまったく同じ症状でサスがズボっと抜けました。車から降ろそうとハンドルを持ち上げたときでした。報道見てびっくりしました
これが走行中だったかと思うとゾッとしました!

| しん | 2010/05/03 16:16 | URL | ≫ EDIT

知る権利を主張して、知る機会を創出しましょう

しんさん

お怪我がなくなりよりです。

製品の安全性を追求することはもちろんの事ですが、乗車する側の知識を深めていく事は重要だと思います。

知る権利がありますよね。

知らなかったで死んだらたまりません・・・

| ドゥロワー | 2010/05/06 12:34 | URL |

ご無沙汰してます

ご無沙汰してます。
僕のブログで最近、例の件の記事で氏のコメントを見つけました。
コメントありがとうございます。
あっという間に流れて見つける事が出来ませんでした。

この一件以来、サスペンションに関する問い合わせや点検の依頼が
増えました。自分が乗っているものは保守整備が必要なのだと少しでも
多くの方が感じていただければ嬉しい限り。

僕も自分の土俵で出来る限り努めたいものです。

| 竹坊 | 2010/05/25 17:41 | URL | ≫ EDIT

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